四時の目覚め

 今朝、目が覚めたのは午前四時。眠りについたのは、そのわずか二時間前だった。夢で、なにか不思議なものをみていた気がする。バイト先と、なにやら関係があったのだけれど、なぜか思い出せない。さめてしまった夢は、そういうものなのだろう。泡みたいになって、消えてしまう。
 ぼんやり、まどろむようにしていたけれど、五時半にはベッドの上にいられなくなった。もう嫌になっていたのだ。だから、ベッドを飛び出した。窓を開け、洗濯物を外に出した。今日は、梅雨の間の、晴れの日。離れ小島みたいな、晴れ。明日からはまた、一週間くらい雨が続くらしい。
 フレンチトーストを食べることにした。パン屋で働く友人からもらった、長いバゲット―とはいっても、もう輪切りにし、冷凍保存していたのだけれど―で作ることにした。かちゃかちゃ卵をかき鳴らしていると、眠っていた恋人が起きだして、「なんの楽器を弾いているの?」と聞いてきた。笑いがこみ上げてきて、たまごをかちゃかちゃさせながら笑った。
 シャワーを浴びて、今ぼんやりとしている。三十分後にはバイト先に向かわなくてはいけない。二度寝する恋人をぼんやりと眺めながら、このまま起こさずに出かけたほうがいいだろうか、と思案する。でも、それが少し寂しくもある。そういえば、さきほどまで、シャワーの中で過去のこと、昔であった不思議な男の子について考えていたのだった。その男の子は、六月と共にいなくなってしまった。まったく接点もない人だったけれど、何度か口をきいたことがある。なんで、こんなことを思い出したのだろう。恋人の顔を見ながら、名前も知らぬ人のことを思い出す。
 もう、そろそろ行かなくちゃ。まだ時間は少しあるけれど、準備を終えなきゃ行けない。

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